おすすめの一冊 「ここは、おしまいの地」
小さい頃、私はばあちゃんの大切な指輪を失くしてしまったらしい。
自分では全く覚えていないが、ばあちゃんの鏡台から指輪を持ち出し、どこかに隠してしまったそうだ。
自分では全く覚えがないので、意図的ないたずらではないのだが、指輪は結局見つからず。その後引越しをした時にすら出て来なかったので、どこか、外に持ち出してしまったのかもしれない。
大変なことをしてしまった。
大きくなったら私がばあちゃんに大きな指輪を買ってあげると言っていたのに、結局その約束も果たしていない。
もう1つ、ばあちゃんの指輪を失くすよりも前のこと。
これも全く身に覚えがないのだが、、2才になったばかりの頃、入院してしまった母に、私は「おばさん」と呼んでしまった事があるのだそうだ。
入院して半年程で亡くなってしまった母。
幼子を残していくだけでも悲しいことなのに、実の娘にたった半年入院してる間に忘れられてしまうなんて、なんて悲しい話だろう。(犯人は私なのだけど。。)
物心ついて間もなくだから仕方のない事だったと慰められたが、
20才の時、母の18回忌の場で4姉妹だった母の姉妹達に「これはもう時効だけど。」と言ってこのことを教えられた時には自分で自分のことを呪いたくなった。
ウソでしょ!?と思った。
母のことを忘れたことなんて一度もないと思っていたのに。
母はその時、そのことを姉妹達に告げ、号泣していたそうだ。
母が生きている中で、一番悲しい出来事だったのではないかと思う。
私が今まで生きてきた中で、一番大きな罪なのではないかと思う。
(他にも両親への懺悔は腐るほどあるけど。)
ほんと、取り返しのつかない事をしてしまった。。
大人になってからの私。たくさんの小さいウソ(隠し事、と言った方がいいかもしれない)がいっぱいある。
大概、家族を安心させるためと言いながら自分を取り繕うためのものが多くて嫌になる。
そうやってたくさんの懺悔を溜め込む。
なんとか挽回するために、生きなきゃと思うし、もう色々疲れて生きているのが嫌になる時もある。
私は生きるのが下手くそだ。
年を重ねるごとに、生きていてごめんなさいという気持ちが大波のように押し寄せて、さらっていく時が増えた。
でも、そんな気持ちを救ってくれるものもある。それは、友の言葉であり家族が喜ぶ顔。長生きして頑張っているばあちゃんの存在そのもの。
それから、一冊の本であり、映画だ。
前置き長くなりましたが、、
色々疲れたかも、という時にぜひ読んでもらいたい本がある。
- 作者: こだま
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2018/01/25
- メディア: 単行本
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もうおしまいだな、、というくらいの不幸な話を、こんな風に俯瞰しながら語れるのはなぜなんだろう。
全ての不幸がこれでもかと押し寄せたみたいな人生を送る作者こだまさん。
それをあるがまま受け入れて笑いに変えていくいくこだまさん。
生きる意味なんて必要なくて、ただ、あるがままを受け入れてとにかく死ぬまで生きる。
前向きとかポジティブともちょっと違う。
でも、まーこんなもんか、と自分を受け入れられる。
そんな気持ちにさせてくれる本です。